このページでは「人権を侵害したり、差別する政党に投票するのはどうしていけないことなのか?」「支持する党に投票したいのに、いけないことなのか?」という疑問を解説します。
僕はトランス男性であり、社会的マイノリティとして政治に関心を持つようになりました。
解説の最後に僕の思いも書いているので、読んでいただけたら嬉しいです。
ここでは分かりやすく伝えることを大切にしているので、さらに詳しく知りたい方は引用元のリンクをぜひご覧ください。
お互いの主張まとめ
僕がしたXでのポストに対して、このようなご質問をいただきました。
本当にそうでしょうか?社会的弱者ってそもそも他人が決めることなんでしょうか?居場所作りに選挙に参加してると思うのでしょうか?
だったら私、社会的弱者なんでしょうか、ね?
支持出来ない党を批判して排除するのではなくて自分の支持する党を応援するのが選挙と思って投票に行きます。
お互いに選挙に対する強い思いが感じられます。
ここでは僕も質問者さんも、支持政党を明確にせず、どちらも「よい日本にしたい」という考えがあるというという前提でそれぞれ解説していきます。
支持する党に投票することは、いけないことなのか?

政党批判ではなく、支持する政党を応援するのが選挙だと思う
憲法15条(国民の参政権と公務員の服務に関する規定)
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
支持する政党が周りからどのように批判されていても、投票する権利は個人にあります。質問者さんがどの政党に投票しても、それがいけないことだと批判する権利は誰にもありません。
しかし僕は、自分の目で見て、政党や公約を知り、他の政党と比べたり、候補者が発言していることが本当に正しいのか?を調べることはとても大切だと思います。



投票は他の人の意見ではなく、自分の意見で行なってほしい
なぜ「差別」はいけないことなのか?
日本ではずっと昔から、今では考えられないようなさまざまな差別がされてきました。
例えば、約80年前まで女性には選挙権がなく、投票することができませんでした。(川崎市 : 日本の選挙権拡大の歴史)
病気や障害による差別は現代よりも激しく、「優生保護法」という法律で不妊手術を受けさせられたり、中絶を強制されたりもしました。(優生保護法 – Wikipedia)
このような差別は憲法という日本の絶対的ルールの違反であり、許してはいけないことです。
日本国憲法14条(法の下の平等)
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
「社会的弱者」は誰?



社会的弱者とは、他の人が決めること?
社会のなかでその構成員として存在しながら、大多数の他者と較量すると、著しく不利な状況や不利益な状態に置かれる者(個人あるいは集団)をいう。このような不利な状況は身体的特徴や社会集団のなかで学歴、ジェンダー、所得、健康、年齢、生活形態、社会的スキル等の有無による差別等、その他さまざまな要因によってもたらされる。発言力が限定され、他の多くの人々に比べて、その生活の質において著しく不利な立場に置かれる場合もある。
この現代において、僕はこの中には「孤独を抱えている人」「生きがいがないことに悩んでいる人」「自己肯定感が低い人」も含まれていると思います。
- 子育てを終えて、今までは子供を通して感じていた社会との繋がりが、なくなってしまったと感じる
- コミュニケーションがうまくとれず、友達がほしいがなかなかできない
- 家族や会社のために長年仕事をしてきたのに、家庭に会話がなかったり、会社で働きにくさを感じる
- 自分の生き方を応援してくれたり、アドバイスしてくれる家族や友人がいない
もちろん、どんな人でもそのようなそのような悩みを持つことはあると思います。
しかしこの悩みが長年続いてしまったらどうでしょうか?それは「生活の質において著しく不利な立場」であるといえるのではないでしょうか。
なぜ社会的弱者を定義しなければいけないのか、それは苦しんでいる人を支援するためでもあります。
困っている人がいればみんなで支えて、助け合おう!というのがこの国の考え方です。
そのために国会議員は法律や制度を整えて、生きやすい社会にしていく責任があります。
困っている人に擦り寄ったり、耳障りのいい言葉でたぶらかすような行為は、国会議員や候補者がやっていいことではありません。
正しい知識を冷静を教えたり、制度を作ることが国会議員の役目です。



(シノチャンが批判している政党に)投票する私は社会的弱者なの?
この質問について僕が思うのは、「社会的弱者」は誰にでもなりうるということです。
僕たちは彼らに寄り添って、支えることが必要なのではないでしょうか。
政党は居場所ではない



居場所をつくるために選挙に参加するの?
この質問に対しては、もちろん「NO」です。
選挙は「日本国民が生きていきやすい」社会を実現するために動いてくれる国会議員を国民個人が、個人の意思によって選ぶのものです。
ですが参政党は、人の心理を利用したパフォーマンスを使って人員を集めたり、一部の人を差別したり悪者にすることで優位性を演出したり、信ぴょう性のない情報を発信しています。
それがまるで、居場所がない・自己肯定感が低い人に対しての「居場所」の提供になってしまっているのではないかと考えています。
参政党はやってはいけないことをしている



参政党は「強い言葉」や「架空の敵をつくる」ことで支援者を集めている
参政党は「強い言葉」で支持者を集めている様子がSNSでもよく見られます。
その手法は、ヒトラーが用いた手法と類似点があると指摘されています。
「人を味方につけるには、書かれた言葉よりも語られた言葉のほうが役立ち、この世の偉大な運動はいずれも、偉大な書き手ではなく偉大な演説家のおかげで拡大する」
ザイアンス効果(単純接触効果)とは、接触回数の多い人や物事ほど、好印象に感じる効果です。人間関係でいえば、「よく会う人やよく耳にする人に好意を抱きやすい」というものです。
ヒトラーはこれを自分の主張に利用しました。大衆に何度も同じフレーズを聞かせ、そのフレーズへの印象を好印象にしていきました。そしていつの間にか、ヒトラーの過激な発言にも、大衆は違和感を覚えなくなったのです。
例えば、参政党は「日本人ファースト」という言葉を多用しています。この言葉は両親が生まれながらの日本人で、現在も日本国籍の人に対しての賛辞のようにも聞こえます。
反対に、海外にルーツのある人や、日本国籍をもたない・もてない外国人に対しては差別的な発言です。
憲法15条(国民の参政権と公務員の服務に関する規定)
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない
憲法99条
天皇(又は摂政)と全ての公務員が憲法を尊重し擁護する義務がある
国会議員は憲法を守って、国民全体のために働く責任があります。
しかし参政党は一部の国民だけをひいきしたり、差別をするようなマニュフェストを掲げています。
「日本を守る」という言葉もよく使われていますが、耳障りのよい言葉の裏には「派手な演説を使って支援者を増やそう」「一部の人々を悪者に仕立て上げて、正義感をあおろう」という思惑があるのではないでしょうか。
政党を見分けるにはどうしたらいいのか?
国会議員や立候補者も人間です。間違った発言をすることも、あえて炎上を狙って間違った発言や、誤解を招くようなことを言い人もいます。
立候補する人数も、新しい政党も増えてたくさんある中で、どの人を信用すればいいの?と思った方も多いと思います。
いくつか方法がありますので、ぜひ今後の投票の参考にしてください。
ボートマッチ
自分の考えと、政党の考えがどれくらい一致しているかを簡単に比較できるWebサービスです。
選挙の争点になっている問題や政策に対して、それぞれの政党がどのように考えているか?を新聞社やテレビ局、民間団体がアンケートした結果と比較することができます。
毎日新聞:えらぼーと 2025参院選
NHK:参議院選挙2025 NHKボートマッチ
日経:参議院選挙、新手法のボートマッチ あなたに近い政党は?
情報源「ソース」を確認する
参政党の発言について調べてみます。
小麦粉は戦後アメリカから支給されて初めてお好み焼きやうどんが出来た、アメリカに作られた食文化
https://x.com/momotro018/status/1593537938612056065
党首の発言ですが、これはホントのことなの?と疑問に思います。
そんな時はまず、検索サービスで「小麦 日本 歴史」と入力して調べてみます。
日本では、弥生時代の中末期には小麦や大麦が畑でつくられていたことが分かっており、日本人は麦を何らかの形で食べていたと考えられます。
日清製粉
「まんじゅう」は鎌倉時代の初めに生まれました。「せんべい」は弘法大師が中国から持ち帰ったと伝えられますが、当時は米粉や葛を素材とし、小麦粉せんべいは江戸時代に始まりました。
このように「小麦は戦前から食べられていた、古来からの食文化」だったという、いくつものページを見つけることができます。
ページによっては、Wikipediaのように「ソース」と呼ばれる参考にした文献や記述がきちんと明記されているところもあります。
それぞれのページを見比べて、信ぴょう性のあるソースを使っているのかを見極めていくことで候補者の正確さ、誠実さを見極めることができます。
AIに聞く
ChatGPTや、GoogleのGeminiなどのAIに聞いてみるのも気軽に使える手段です。
しかし、AIはインターネットの中にあることをまとめて伝えているだけなので中には間違った内容も含まれる場合がありますし、こちらが伝えたい内容をうまく読み取ってくれないときもあります。
完璧なものではない、という認識をもって使ってみましょう。
ChatGPT:https://chatgpt.com/
Gemini:https://gemini.google.com/
私たちは素晴らしい
いかがだったでしょうか。
僕自身もしっかりと調べながら書いていたら、あっという間に4時間も経っていて驚きました。
参政党についてはLGBTQや選択的夫婦別姓について憤る点がいくつもありますが、なるべく平常心を心掛けて書き上げたつもりです。
しかし参政党を支持する方がこのページを読んだら、僕と同じように怒りがわいてくるかもしれません。
そんな方に、僕の気持ちを聞いていただきたいです。
僕は、誰かの意見や思いを頭ごなしに否定したり、人格について批判することはあってはならないと思います。
それが「差別をしていけない」ということです。
そして、それと同じだけ「人は助け合わなければいけない」とも思います。
差別や障害に苦しんでいる人を無視しない、困った人に手を差し伸べることが日本という国にいる以上、大切だと思います。
僕はトランス男性で、高卒で、疾患があり休職中の無職です。社会的弱者、と呼んでいいでしょう。
トランスジェンダーにおいて日本は生きにくいと感じているし、学歴マウントもあるし、働けないくらい体はしんどいし、世間の偏見がまだまだある病気だし、日々減っていく貯金にず〜んと気が重くなっています。
でも、誰かを差別することは絶対にしたくない。
誰かと比べてエラいとか、すごいなんて、ない。
自分のために一部の人達には我慢させよう、なんて考えは間違ってる。
憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される
僕たちは誰もが「素晴らしい人」です。
頑張っていても、頑張ってなくても、自分なんて…って思ってる人も、みんな素晴らしい人です。
あなたの素晴らしさに気づいている人は必ずいるし、手を差し伸べてくれる人もちゃんといます。



自分の価値観を他の人にゆだねないで、自分で決めてほしい
だからどうか、自分を大切にするのと同じように、周りの人、苦しんでいる人についてすこし考えてみてください。
その人たちは、あなたかもしれません。
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